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2010年3月 5日 (金)

尿素水排ガス浄化バスの注意点など

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尿素水を使って、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を浄化するバスがある。現在私たちの職場では、UDのバスと、同社からエンジンのOEM供給を受けている三菱ふそうのバスに、このシステムを採用している車がある。

原理的には、排ガス中の窒素酸化物を、尿素水によって水と窒素に分解するというもの。詳しいご説明は、Wikipediaなどをご覧頂いた方が私の生半可な説明より判り易いと思うので、そちらに譲るとして、ここでは運転手サイドが受けている注意点と、現場でしか見られない映像をご紹介しようと思う。

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上にご説明が書いてある通り、尿素水の水量計。運転席の速度計パネルなどの横に取り付けられており、満水時だとこの写真のように4つのランプが点灯する。走行するに従って当然尿素水量は減っていき、点灯するランプの数も減っていく。私共としては、このランプが1つしか点灯していない状態なら、工場へ持っていき、尿素水を補充して貰うように言われている。

この手のバスを私たちは縮めて「尿素バス」と呼んでいるので、以下、その略称で書くけれど、尿素バスに乗務の時は、運行前点検でもこのランプの点灯具合を見ることが義務付けられている(下の写真は、私共の日常点検表の一部)。

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1つしか点灯していない(或いは無点灯の)場合は、代車を要請することになっている。
ご承知の向きも多いと思うが、尿素バスは尿素水がないとエンジン始動が出来ない。アイドリングストップバスでは実質、走れなくなってしまう。それで、点検項目に含まれているのだ。

ただ、走行途中で2つ点灯していたランプが1つになってしまう場合もある。ランプが1つしか点灯しない状態でも、一応130Km程度は走行可能だと聞かされている。それゆえ、1つしか点灯しない状態になったら、入庫後に速やかに尿素水を補充すればよい。

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これは、ふそう車の例だが、車体側面に尿素水の補給口がある。これをちょっと失敬して開けると……

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こんな感じで、タンクが丸見えになる。開口部の裏側に書かれているように、尿素水は満タンで57L入る。UDでも、大体60L程度と聞いている。エンジンの元は同じだから、57Lの量は変わらないと思う。

「AdBlue(アドブルー)に限る」とあるが、これは尿素水の登録商標、いわば商品名だ。また、アド「ブルー」との名前でも、当の尿素水は色が着いている訳ではなく無色透明、また臭いもない。

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これが、当の「アドブルー」を補給する大元のタンク。横に置いてあるカラーコーンから大まかな大きさはご推察頂けるかと思う。大人の背丈より少し小さい、高さ140センチ程度、横幅も同じ程度、奥行きは1m程度かな。

1回の補給量が、帳面に記してあったので見てみたが、大体20L程度の補給が多いようだ。私の仲間内では、今のところ「ランプの点灯が1つになってしまった」との話は聞いていない。ランプが2つ以上の状態でも、工場サイドで点検等の際に、アドブルーを補給してくれているのだと思う。

4つ点灯するパイロットランプが、1つでも130Km走られるとのことだから、単純計算で満タン時なら130Km×4=520Km程度、走行可能と云うことになる。
私たちの一日の仕業では、平均の走行距離は90~100Km程度である。車両自体は一日に1.5仕業程度走るから、130Km前後走るのがバスとしての一日の仕事量と云うことになるだろうか。それから逆算すると、3日か4日に一度は尿素水を補給しているのだと思う。

今年度の新車は、Jバス系のいすゞと日野が納入することになった。既に新車は活躍を始めているが、Jバス系は現在のところ、私たちの職場には尿素水を使う車両を納入していない。

それでも、今後、ふそうやUDの車両が入ることは十分に予想される。これからも、尿素バスは私たちの職場で増えていくことになるだろう。

少し理屈っぽいご説明となってしまった嫌いもあるが、あまりメカなどに詳しくない運転手からの話は、この程度に留めようと思う。

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バス・仕事」カテゴリの記事

コメント

ある掲示板で見たのですが、M鉄バスだと一宮営業所にMD92(尿素UD)搭載車があるみたいですね。私の地元の名古屋営業所は尿素UDになる以前もしくはエコハイブリッドの三菱ふそうと日野車が在籍しているため尿素UD車はありません。ちなみに私の近所で尿素UD車は、N外大のスクールバスとK社~N外大の貸切市営バス(但し新NF車と新NN車が入った時に限る)、本郷~猪高緑地(S徳大)の市営バス(同上)で見ることができます。

投稿: リニモ1号 | 2010年3月 5日 (金) 23時15分

>リニモ1号さんへ
M鉄の尿素UD車と思しき車、私も新幹線の車窓で1度だけ、稲沢近辺で見たことがあります。見慣れない形のM鉄バスだと思ったら、次の瞬間もう別の景色に変わっていたので、はっきりとしたことは判りませんが……違うバスかも知れません(笑)。
ご存知のようにN外大のスクールバス応援(貸切)は、私共の営業所で担当しておりますので、確率としては低いかと思いますが、尿素NNやNFが入ることもあります。あの貸切は「兎に角、空いている車で運行する」ので、基幹カラーや中型・小型でなければ、ノンステ・ツーステに関係なく、色々な車両が任に就きます。
因みに、毎年、3学期に入りますと需要が落ちることから、貸切仕業は一時お休みとなります。夏休みなどの学休期間も、また然りです。

投稿: リニモ1号さんへ | 2010年3月 5日 (金) 23時38分

雑学として楽しませて頂きました。
バス仕事関係のブログの時には
「へぇ~」のボタンを押し続けています。

投稿: suzuran6 | 2010年3月 6日 (土) 09時11分

尿素車はパワーがあって、良く走りますね~。
同じ仕事するなら尿素車がいいですね~。

投稿: N市のT | 2010年3月 6日 (土) 12時48分

>suzuran6さんへ
雑学程度で十分でございます。
元々このブログは、私の気晴らしのために始めたものですので、自分勝手に書きたいことを書いています。無理に他人様に読んで頂こうとか、コメントを頂こうとか、そう云った考えは殆どありません。
「バス・仕事」のカテゴリーの記事は、自分の仕事を中心にして記事を書いています。バスにはそれ程興味がない、と思われる方からコメントを頂戴すると、恐縮してしまいます。
気楽にお付き合い頂ければ、それで十分だと思っております。

投稿: suzuran6さんへ | 2010年3月 7日 (日) 00時01分

>N市のTさんへ
同じNNでも尿素車と非尿素車とでは、雲泥の差がありますね。
私共の車庫には「非尿素NF」が存在しないので、詳しくは判りませんが、現状では尿素車のNN・NFは走りが良く、私もお気に入りです。
NNでミッション車が入ったら、どんなことになるかなと、ちょっと興味があります。

投稿: N市のTさんへ | 2010年3月 7日 (日) 00時08分

こんばんは。
現場の方でしか分からないお話、大変興味深く伺いました。
アドブルーの消費量が思ったより多いのは意外でした。
あまり比較にはなりませんがメルセデス・ベンツの最新乗用車用の3000cc
V6ディーゼルが24リッターのタンクで、消費量は1000km走って
1リッターだそうです。
単純計算で24000kmはもつということですね。
無くなってしまうとエンジンが再始動しないというのは怖いですね。
個人的にはUD尿素エンジンの300馬力/135kgmは路線車としては
オーバースペックのような気がしますね~

投稿: vanagon714 | 2010年3月 7日 (日) 19時23分

>vanagon714さんへ
アドブルーの消費量に関しては、ベンツの乗用車とあまりに差があり過ぎますから、ことによると私が何か思い違いをしているかも知れません。UDの尿素バスは排気量が9200cc強ですから、多く見積もってベンツの4倍程度、それから逆算しますと1Lで250Kmくらいは走らなければいけない計算になりますね。
機会がありましたら工場の整備員の人に、再度数値を確認してみます。

UD尿素エンジンの馬力ですが、仰せの通りの数字が公式発表のもののようですね。ただ運転している限りでは、決してオーバースペックとは思われない走りです。確かに「気持ち良く」走ってくれますが、Jバス系の車両と比較すると「どっこいどっこい」のように感じます。

投稿: vanagon714さんへ | 2010年3月 7日 (日) 23時09分

横浜へ行った時に確認したのですが、T急バスでは尿素注入口に
「尿素注入口・開けるな!」とご丁寧にラベル貼ってありました。

さて、おさかなさんの所の尿素NN車は、NN-60、61、71ですね。
この3台、中扉より後側の席が座りやすいから好きです。
尿素NF車はあまり乗ったことがないのでよくわからないですが
最近のNH&NS車は中扉より後側の席の一部が座りにくいです。
私の身長&座高が高いからということもありますが・・・。
でも車種問わず最前列以外の一人がけ席が空いていれば迷わず
そっちに座るようにしています。

投稿: 幹星丘2一利用者 | 2010年3月 8日 (月) 19時47分

>幹星丘2一利用者さんへ
T急バスは中々ご丁寧ですね。却ってそう云ったことを書くと「知ったかぶりマニア」の方(俗に言うモラルのない方)が、開けたがるような気もするのですが……。まあ事業所ごとに考え方があるのでしょう。
当所の尿素NNは仰せの3台ですね。非尿素NNでは最後部座席の前側に、「意味の判らない空白スペース」が出来て乗務員からも不評でしたが、尿素車ではその点も改善されて座りやすくなりましたね。
NF車も、後部への通路が3段式の階段(段差の少ない階段)になっていますので、高齢の方でも通路の行き来がしやすいようです。
一人がけの席は誰しも掛けやすい席ですが、車椅子やベビーカーの固定優先席ですので、私はなるべく掛けないように心がけています。

投稿: 幹星丘2一利用者さんへ | 2010年3月 8日 (月) 22時46分

N外大のスクールバスで、MD92(尿素UD)を搭載してるエアロスターは2台あり、1台はトップドア車、もう1台は2扉車です。もっともエアロスターでトップドアなのは尿素UD車だけですが…。

K社~N外大のスクールバスはN外大行きとK社行きでは長久手町内でコースが変わるのでN外大のスクールバスが自宅の前を通るのはK社行きの方になります。ただしN外大行きのコースは必ずしも一定しませんが…。ついでに仕事その他でN外大のスクールバス車庫の前を通ります。実はバスを観察した結果です(苦笑)

あと話は飛びますが、この近辺だとT濃鉄道で尿素UDのエアロスターを見ました。

投稿: リニモ1号 | 2010年3月14日 (日) 22時33分

>リニモ1号さんへ
N外大のスクールバスは私も機会ある度に観察しておりますが、トップドア車が尿素車のみとは存じませんでした。2扉車の方は、最新ナンバーの車両でしょうか。
ここに書いたかどうか忘れましたが、私も現在の職場へ入る前は、仰せのN外大のスクールバスを運転していましたので、ルートはある程度把握しています。基本的にはIヶ池交差点を曲がるルートが正式だと教えられました。尤も私がいた頃は自家用の白ナンバーの時代ですので、今とは事情が変わっているかも知れません。私が在籍した頃にはなかった道も、新たに開通していますしね。

T濃さんも、尿素車があるのですね。親会社のM鉄さんは専らエコハイブリットバスを導入されているようですので、どんな流れになっていくかと、他人事ながら興味を持って見ています。

投稿: リニモ1号さんへ | 2010年3月15日 (月) 19時14分

Jバス系は低速走行をするとススがたまりやすいので定期的にエンジンを回してやらないといけない、日デ・ふそうは定期的に尿素水を補充してやらないといけない、と言うことで導入如何は事業者によって対応が分かれるようですが・・・実際にはどちらが面倒なのでしょうか?
(もっともその一点だけでは判定できないとは思いますが)

尿素水ですが、安ワインの入っているようなポリタンクから直接注ぎ込む事業者もあるようですね

投稿: 田舎物 | 2010年3月16日 (火) 00時42分

>田舎物さんへ
尿素水の方は、私共で尿素水のパイロットランプを常時気にしなければなりません。一方Jバス系のDPDは、普通に走っている内に自動的に装置が稼動して煤の燃焼が始まりますから、その点では尿素水の方が面倒かと思います。
ただ記事にも書きましたように、私共が尿素水の注入をする訳ではありませんし、整備工場の側で常時点検・補充をしてくれているようですから、実質どちらでも大きな違いはないように思います。要は故障さえ少なければ、どちらでもいいのでは、が私の意見です。
「安ワインのようなポリタンク」は見たことがないですね。

投稿: 田舎物さんへ | 2010年3月16日 (火) 23時52分

ポリタンク入り(正確にはバッグインボックス(BIB)と言うそうです)は現地出退勤をしているような事業者さんで使われるそうです。
ご参考にメーカーの尿素水のページを掲載しておきます。

確か尿素車が出鼻の頃のバスラマに"尿素水はどうやって手に入れるの?"と言う疑問に対する回答の一つとして紹介されていた記憶があります。
今はガソリンスタンドでも売ってるようですね

投稿: 田舎物 | 2010年3月17日 (水) 00時34分

>田舎物さんへ
アドブルーのページを教えてくださって、有難うございました。初めて拝見しました。
BIBなるものも理解できましたし、私が画像アップしたものが1KL入りのコンテナであることも理解致しました。

最近はバス(仕事)に関してウンザリしてしまうことが増えてしまったために、バスラマ等の雑誌も買わなくなりました。ある程度の知識を手に入れるために、欲しい雑誌だとも思いますが、今では純粋な趣味としては見られないようです。
この記事のコメントでvanagon714さんが「ベンツの乗用車で……」と書かれていたので、自家用車にも普及していることを知った次第です。
確かに最初は「アドブルーはどこで手に入るのだろう?」と思うのは当然のように感じます。GSでも売っているとは、これまた存じませんでした(汗)。

投稿: 田舎物さんへ | 2010年3月17日 (水) 23時37分

この記事ばかり何度もすみません。
以前T濃鉄道で見た尿素UD搭載のエアロスターは、どうやらM鉄グループが一括発注したうちの一台みたいで、同型車がG阜バスやC多バス、M鉄バス(I宮営業所)などのM鉄グループ各社にあるようです。

投稿: リニモ1号 | 2010年4月 4日 (日) 18時36分

>リニモ1号さんへ
最近、M鉄さんのグループはコスト削減のために、親会社のM鉄さんが子会社の分まで一括して注文しているそうですね。
尿素車に関しても、その方式で発注をかけたということなのでしょうね。
肝心の親会社さんの方は、ここのところふそうのエコハイブリットバスが新車の中心となっているようですが、尿素車とエコハイブリットでは、どちらが経済的なのかなあと、すっかり傍観者になっています(苦笑)。

投稿: リニモ1号さんへ | 2010年4月 4日 (日) 21時02分

>vanagon714さんへ(再コメント)
かねがね気になっていた、尿素水1L当たりでの走行距離を、今日、整備の方に聞いて参りました。
驚いたことに、「そうだねぇ~、月間3000Kmくらい走って、大体20L補給するくらいだから」とのことで、リッター当たり150Kmくらいは走れるのだそうです。
ここに謹んでお詫び申し上げます。
因みに尿素水のパイロットランプは、最後の1個だけが「危険信号」を示すものだそうで、点灯個数と走行距離は直接に比例はしていないのだそうです。

投稿: vanagon714さんへ(再) | 2010年4月12日 (月) 23時52分

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