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2010年1月15日 (金)

プレ・ヒーター論争

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私たちの職場のバスに装備されているプレ・ヒーター。日本電装製のものを装備している。

ここ最近の寒さには、当然の如く大変重宝がられているのだが、私たちの職場では平成13年式の車両を最後に、プレ・ヒーターが装備されなくなった。理由は単純で、車両単価を下げるためである。

現在主流となっているノンステップバスの殆どは、プレ・ヒーターがついていない。バスの車内を暖めるためにはアイドリングだけではとても追いつかないから、走行を始めなければ車内は暖かくなってこない。私たちも寒くて堪らないが、暖かい車内を期待しているお客様にとっても期待を裏切る仕様のバスになっている。

4年位前、私が労組の端っこ委員をしている時に、職場の委員会でプレ・ヒーターの復活について要望を出してみたことがある。ところが、本社から返ってきた答えには驚いた。「北海道のバスでさえ、プレ・ヒーターなどの贅沢装備はついていない。名古屋でプレ・ヒーターをつけることなど論外である」。当時の労組支部長からこの言葉が発せられた時、委員会席上ではざわめきが起こった。「本社は一体どこを見て物事を喋っているのだ」と、ひそひそ声も上がった。

今はアイドリングストップが当たり前になってしまったので、終点の転回場などでエンジンをかけたままにしておけば、市民からでも苦情の電話などが入ってしまう。ところが、私たちの営業所では、終点に着いてから30分以上の待機時間があるようなダイヤも何本かある。そんな時にプレ・ヒーターがついていなかったら、次に発車するまでに車内はすっかり冷め切ってしまう。
それで、私は次の委員会の時に「鉄道部職員のように、職場指定のジャンパーを支給して、車内でもそれを着用しての乗務を認めて欲しい」と要望した。然しこれも、にべもなく否定の回答が返ってきた。

それじゃあ、ということで、私は2年前だったかの初夏に北海道へ旅行した時、たまたま終点で居合わせた乗り合いバスの運転手氏に尋ねたことがある。旅行中にあまり自分の身分は明かしたくないが、変なオタクと勘違いされても面白くないから、自分の身分を明かした上で「そちらのバスにはプレ・ヒーターはついていますよね?」と聞いたのだ。すると運転手氏は、当たり前だろ、という顔をして「そりゃ、ついていますよ。大体、北海道でプレ・ヒーターなしのバスじゃ、お客さんも私らも凍え死んじゃいますよ。」とあっさり答えた。
私は畳み掛けるように、職場委員会での本社からの回答の話をしたら、運転手氏は苦笑とも何ともいえない表情をして「お客さんの職場の上司さんたちは、余程物事を知らない人たちなんだろうねえ。ひょっとして、冬の北海道、来たことねえんでねえべか」。一言一句までは合っていないかも知れないけれど、最後にはとうとう北海道の方言丸出しになってしまったのだけはしっかり覚えている。

かように、私たちの職場は、赤字を減らしたいがために、必要と思われる装備までをも外した車両しか購入しないようになった。それどころか、防寒着の着用運転さえも認めないという、滅茶苦茶な態度で私たちに対峙している。

現場職員を大切にしない企業は、やがて潰れるよと、誰かが言っていた。私もそうだと思う。あの回答をした幹部職員は、きっといつも暖房の利いた部屋で、ディスクワークをしたことしかないのだろう。

今年もまた、新車と旧車の入れ換えの季節がやって来た。十数台のプレ・ヒーター付きバスが廃車になり、同じ台数のプレ・ヒーターなしバスが新車として配属される筈である。

おぼっちゃま幹部に、現場の過酷な実態を理解してもらおうとしたって、所詮無理な話なのだろう。

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バス・仕事」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
突然のコメント失礼します。
雪に慣れない都道府県民も多く、誰だって寒さは堪えますからね。
辛口ですが上層部は、現場を知らない方も多く、何かあると経費削減と言ってみたり、分からなくもないけれど考えて欲しいですよね。
私は詳しくないけれど、プレヒーターというのはそもそも寒冷地仕様なのでしょうか?

投稿: 北国の住人 | 2010年1月15日 (金) 23時18分

>北国の住人さんへ
こんばんは。ようこそお越しくださいました。
プレヒーター、バス車両に関しては「予熱装置」と言った方がお判り頂き易いかと思います。エンジンを作動させなくとも、別個に燃焼する装置なので、車内暖房には大変有効なものです。
一般的に、ブレヒーターは本州でも多くの会社で装備されているようです。決して「寒冷地仕様」に限定されるものではないと思います。

確かにプレヒーターを非装備とすることで、いくらかの赤字減らしには貢献できるでしょう。ただ、それは机上での話であって、実際に乗務員がどんな寒さに晒されているかを上層部は知らないから、あそこまでの「暴言」が吐けるのだと思います。

投稿: 北国の住人さんへ | 2010年1月15日 (金) 23時59分

冬場の寒いバス。‥ん~
特に冬場に、寒いバス停で待ち、冷え切った体で、車内が暖かいとホットします。‥顧客の要望事項として、冷暖房は適切に‥
何処までが、顧客に対してのサービスであるか、提供したいサービスであるのか、ぶれてしまうと判断できないのでしょうね。
冷暖房完備は当たり前の時代です。運転手さんだって、寒くてこごえていたら、事故原因の一つになってしまいますし‥

投稿: suzuran6 | 2010年1月16日 (土) 10時06分

>suzuran6さんへ
プレ・ヒーターを剥奪されたことで、明らかに旅客サービスの低下は招いていますよね。
寒い外からバスに乗って来られたお客様方は、誰しも暖かい車内を期待しておられる筈です。それを見事に裏切っているのですから。

冷房にしても、アイドリングストップによってエンジン停止で一々冷房が停まるようになっています。

暑さは仕方ないとしても、寒い方は私共も風邪などの原因になりますから、何か対策を講じて欲しいものです。こんな寒いバスに乗せておいて「日頃の体調管理の徹底」を指示しているのですから、チャンチャラおかしいと思います。
目先の赤字減らしに躍起になっている職場に、このようなことをぼやいてみても無意味なのは承知ですが。

投稿: suzuran6さんへ | 2010年1月16日 (土) 20時49分

こんばんは。
北海道のバスにプレヒーターが装備されていなければ、
そもそもそういう装備は開発されていないでしょうね。
寒い中でバスや電車に乗ってありがたいのはやはり室内の
暖かさですよね~
モノコックの頃は超強力な燃焼式ヒーターが備わっていて
真冬でも足が熱くなるくらいでした。
今はこちらのバスでも経費削減なのかそれほど強力では無いです。

それにしてもそちらの上司には困ったものですね。
こういう場合、職員の要望よりも利用者の苦情の方が効果ありますね。
市民からの投書が新聞に載ったり直接苦情が来たりすれば改善されるかもしれません。
ずいぶん昔に聞いた話ですが、博多の乗客はとても苦情や投書が多いのだそうです。
そのことが会社を動かし、N鉄バスでは座りやすい横向き優先席や70扁平タイヤの
採用など利用者に優しいバスを他に先駆けて作りきました。
利用者がバスを育てているのですね~

投稿: vanagon714 | 2010年1月16日 (土) 21時19分

>vanagon714さんへ
私たちの職場の上司、特に幹部級職員は何を考えているのか疑問に思うことが多くなりました。
何を考えているのか、と言っては間違いかも知れません。目先の赤字減らしに躍起になる余り、常識を失っているのだと思います。
それでなければ「北海道のバスにさえ……」などと云う発言は考えられません。
本来、vanagon714さんが言われる様に、お客様から本社サイドへ直接苦情が入るのが最も望ましいのですが、お客様は「私共=兵隊蟻」に苦情を言うだけで、それ以上のアクションをしてくれません。
私共だって寒くて堪らないのに、その上お客様からは苦言を呈され、実際の事態はまったく改善されないという悪循環を繰り返しています。

昔のバス、三国の灯油燃焼式ヒーターは、実質ストーブと全く同じですから、本当に暖かかったですね。vanagon714さんのブログでコメントした「ブルドックなのにFFシフト」の前職のバスには、これがついており、実に暖かかったのが忘れられません。
今はそちらでも三国ではなく、普通のプレ・ヒーターになってしまったために、暖かさが鈍っているのかも知れませんね。

投稿: vanagon714さんへ | 2010年1月17日 (日) 23時00分

おととい日帰りで神戸に行ってきました。
神戸も寒かったですが、神戸市バスで驚くべき光景を2つ
立て続けに目撃。

1、ターミナルで休憩中のバス、運転士さん中扉開け放しで
休憩所に向かっていた。

2、防寒ジャンパーを着て乗務している運転士さんがいた。

1、の運転士さんにはよほどこのブログ見てね、って言いた
かったです・・・。
2、はこのブログ見ていなかったら何も驚いていなかった
でしょう。

東大法卒で元富士通人事部社員だったルポライター兼評論家で
ある方は「人事部配属の僕だって新人研修のとき(富士通の)
工場でシリコン洗ったことがある」ってブログで書いてましたし、
現場をちゃんと知ることはホントに大事ですよね・・・。

投稿: 幹星丘2一利用者 | 2010年1月18日 (月) 18時46分

>幹星丘2一利用者さんへ
神戸市営交通と私共の職場では、職場の規則等異なると思いますから一概に論じることは出来ませんが、現在の私共の環境から申せば「神戸っていい所だなぁ」が率直な感想ですね。
基本的には、メインスイッチを切ってしまって、金庫とエンジンのキーを抜き去ってしまえば、扉が開いていても直ぐには問題にならないと思います(尤もメインを落とせば扉は大抵の場合自動で閉じますが)。ただ、寒い時期ならお客様のことを考えて車内保温をすることも必要だとは思います。
この辺りは運転手個々の判断に委ねられている部分も多いと思いますが(例えば風邪の菌を車内から追い出すために、扉を開け放す乗務員は私たちの職場にもいます)、一般論としては「私達は寒さ凌ぎの場としても使われている」と考えて保温に務めることが大切なように思いますね。

何しろ、上司が現場を全く知らないのは、悲しいことです。情けない思いすらします。本当に私の勤めている所は、大都市・名古屋なんだろうかと思えることが多くなりました。

投稿: 幹星丘2一利用者さんへ | 2010年1月19日 (火) 22時24分

「現場上がりは黙っていろ」という本社の幹部会議ですから、現場の事はどうでもいいのです。
こんな奴等が経営しているのですから先は真っ暗ですね~。
接客だけが最優先で、安全・快適は置き去りです。
痛い目に遭うのはお客と従業員です。
他の事業者はのびのびとやっているのを見るに付け、名古屋はひどいものだと思います。

投稿: N市のT | 2010年1月19日 (火) 23時33分

>N市のTさんへ
現場上がり、最高で課長級まで行ける訳ですが、会議での発言権は殆ど皆無だそうですね。
本当にお先は真っ暗です。無理にしがみついている職場でもないのでは、と最近は疑義を感じています。
今は間違いなくM鉄の方が職場環境が良くなっていますよね。
まだ定年には14年もあるので、自分なりに将来設計を見直してみようと考えています。ここには、いる意義を感じません。

投稿: N市のTさんへ | 2010年1月19日 (火) 23時57分

プレヒータがないと将来地方の事業者に譲渡する時不利になりそうですね。実際名古屋市営バスの中古は北陸地方でも走っています…。

投稿: リニモ1号 | 2010年1月24日 (日) 17時50分

>リニモ1号さんへ
今はまだいいのですが、平成14年式が廃車を迎える4年後からは、仰せの問題も起こってきますね。
今回廃車となる車も、3扉車が多いですからそちらの点で不利が囁かれていますし……。
ノンステップ車としてはグレードは低くないはずですが、プレヒーターなしは寒地への移譲が難しくなるでしょうね。と言って、名古屋より南の事業者がそうそう簡単に関心を示してくれるかなと、疑問符が残ります。どこであろうと、冬に寒い車は嫌われますよね。

投稿: リニモ1号さんへ | 2010年1月24日 (日) 22時48分

お久ぶりです。

プレヒーターほしいですね。

プレヒーターの無い車両=電動ミラー

プレヒーターの費用を電動ミラーで消費しているのでしょうか。
何かの冊子では「環境の配慮でプレヒーター廃止」と書かれていたと思います。

投稿: 企4 | 2010年2月 1日 (月) 19時57分

>企4さんへ
こんばんは。お久し振りです。
言われるように、3行目の数式(?)は成り立ちますね。
ただ、この当時、私はちょうど労組の組委員をしており、本文にも書いたようにその席上でプレヒーターを奪われた経緯も聞かされました。
早い話が、経費節減、の一言に尽きます。
環境に配慮、は、外向きに書いた態のいい言い訳です。それだけは組委員をした者として断言できます。

投稿: 企4さんへ | 2010年2月 1日 (月) 22時57分

今晩はじつは入った会社が自動車などで使われている燃焼式ヒータを扱う会社なのですが、非常に興味深く拝見いたしました。
書かれた記事から2年がたちましたがその後の状況はいかがでしょうか?

投稿: 320 | 2012年11月12日 (月) 02時37分

>320さんへ
こんばんは。コメント頂き有難うございます。
早くもこの記事から2年経っていますが、本社上層部の考えは全く変わっておりません。プレヒーター無しの車ばかりが新車として入って来ております。
冷暖房完備の部屋で机上論だけ唱える上層部ですから、現場のことなど判る筈がないだろうと諦めております。

投稿: 320さんへ | 2012年11月14日 (水) 21時11分

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