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2010年1月 9日 (土)

車内アナウンス

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画像の合成技術を持ち合わせないので、横並びの画像でご堪忍頂くとして。

何年前からか忘れたが、私たちの職場では「積極的に車内アナウンスを入れなさい」との命令と共に車内放送用の帽子掛けマイクが支給され、その使用が義務付けられた。

あけっぴろげに言ってしまうと、私は車内アナウンスを入れることはそれ程苦痛に思っていない。何分にもご幼少の砌から、電車のおもちゃで遊びながら、車掌さんのアナウンスの真似事をしていた小僧である。現在もそれの延長線上のようなつもりでいる。

ただ、義務化されてしまうと人間は反発心を掻き立てられるもので、今まで好き勝手に入れていたアナウンスも逆に入れる気が失せてきてしまう。私たちの職場は上層部が専横的だから、「やれ」と言い出したらやらさなければ気が済まない。挙句の果てには「今月はこの内容のアナウンスをしなさい」と指示し、ご丁寧にも客に紛れて係長級以上の職員がこっそり添乗し、そのアナウンスをしていない乗務員をつるし上げにする始末だ。

バカバカしいことだと思う。こうやってどんどん「やる気のない企業」に育て上げていくつもりなのだろうなと、いつも残念な気持ちで上層の連中を見下している。

そんな折、もう3ヶ月ほど前になるが、研修所で研修を受ける機会があった。そこで最初にやらされたのは「自分が始発停を発車した時のアナウンスを、録音機に向かって言いなさい」であった。
録音されたものを再生して聞いてみると、自分が意外に早口でアナウンスしていることに気がついた。それで、以来、出来るだけゆっくり喋ることを心がけるようになった。

ただこの研修はこのこと以外、私にはあまり意義がなかった。私のアナウンス内容は「比較的良い」とは言われたが、あとで私だけ「もう一度喋ってみてくれるか」と言われて同じアナウンスをしてみると「ちょっと、喋り方に癖があるのが判りますね。また、口の開け方が小さいので、少し言葉が不明瞭ですね」と他の受講者に向かって教官が言った。

昨年の7月に四国旅行へ行った際に、自律神経失調症の薬を忘れてしまって寝られなかったことを書いた。自律神経の薬を飲むようになったのは、もう20年以上昔からの話である。ところがその薬の飲用によって、悲しいながら少し喋りに弊害が出るようになった。どもってしまったり、口を大きく開けて明瞭な発音をすることがかなり困難になってしまったのだ。

こうした個人的な事情を一切無視して、ただ研修所の方針だけを押し付けるような研修は、私には大変不快なものであった。多少喋り方に癖があろうと、私たちはアナウンサーまでをも目指している訳ではない。そこまで事細かに言われる筋合いはないとすら思う。

要はお客様にこちらの意思が通じればそれでよいと、今は自分にそう言い聞かせて自分のやり方を貫いている。私も結構、頑固者なのだ。

ところで、バス・鉄道のアナウンスと言えば、私たちマニアには忘れられない存在の方がいる。「あ、あ、あ、秋葉原です……」の出だしで有名な、「スーパーベルズ」のヴォーカル・野月貴弘氏だ。

鉄道車内のアナウンスを、あれ程までの音楽的要素を盛り込んでラップミュージックに育て上げた、氏の発想と功績は素晴らしいとさえ言える。あれは勿論お遊びだけれど、それでもアナウンスに関して参考になる部分は随所にある。

また、俗に言われる「車掌口調」を、車掌の経験がない氏がああも見事に再現しているのも特筆ものだろう。そもそも、野月氏の声そのものが、既に相当な「車掌ボイス」である。ああして遊び心まで加えたアナウンスを目指したら、私たちの仕事ももう少し楽な気持ちで出来るのではなかろうか。

某国営放送のような四角四面のアナウンスだけが、全て正しいとは私は思わないのだが。

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バス・仕事」カテゴリの記事

コメント

嫌なご時勢になりましたね。
以前は職場も楽しかったのですが、最近は嫌気がさしてきて全然楽しくなくなりました。
このような声がたくさん聞こえて来ます。

投稿: N市のT | 2010年1月 9日 (土) 21時57分

こんばんは。
私はいつも乗客の立場なので現場でのお話は興味深いです。
いつも利用する中央バスでは車内アナウンスは千差万別です。
一番印象に残るドライバーさんは北営業所のOさんという方で
まるで車掌がもう一人乗務しているかのごとき完璧な案内を
しています。
かと思えば始発から終始無言を貫く乗務員もいます。
会社の中に統一した基準が無いのかもしれませんね・・・
私個人の意見としては、

 ワンマンカーなので車内アナウンスは音声ファイルでカバー出来ない
 部分の必要最小限にとどめる。
 乗客に好印象を持ってもらうのはやはり優しい口調での接客応対。

完璧に出来なくても誠意は伝わるかと思います。
逆に最悪なのは乱暴な運転とため口+ぶっきらぼうな応対ですね。
お年寄りや不慣れな乗客にそういう接客をしていると他の乗客までもが
不快な気分になってしまいますね。

投稿: vanagon714 | 2010年1月 9日 (土) 23時12分

私の利用している地域のバスではほとんど方が。「発車します」「右にまがります」程度のアナウンスですね。
しかし、お年寄りなどが乗車した際には、着席確認を確実に行った後に発車したり、「停車してから席を立ってください」のアナウンスが頻繁になったり基本の指示事項はあるようです。
バスの場合には車両自体が小さいために、自動放送でおおよそ聞き取ることが出来ますが、私が普段通勤で利用している、西武線の車掌さんの一部の方が「崩しすぎて聞き取れない」「ボリュームが低くて聞こえない」ケースが3割程度の確立で発生しています。通勤で利用している私は、アナウンスはほぼ聞いていませんが、これを出張先の電車内でやられると不安だらけ‥いつも、鉄道会社は、アナウンスに関しての標準化などの対策は打っているのでしょうかね?

投稿: suzuran6 | 2010年1月10日 (日) 09時10分

>N市のTさんへ
本当に、とんでもない職場になってしまいました。
私がこの職場に入った時は、勿論、自分なりに頑張って定年まで勤め上げようと意気揚々でしたけれど、今の状況が続く限り、入った時の気力が戻ることはないでしょう。
車内アナウンスに関しても、もう少しゆとりを持たせて欲しいですよね。一度アナウンスを忘れただけで、即刻「つるし上げ」にする現行のやり方は見直して欲しいものです。
皆が言いますが、こっそり添乗する職員の給料は、私たちがハンドルを握って稼いだお金から出でいるんだぞって。経費の無駄遣いはこう云う所から改めて欲しいですよね。

投稿: N市のTさんへ | 2010年1月10日 (日) 22時52分

>vanagon714さんへ
こんばんは。
お客様視線からのご意見、誠に有難うございます。
本文にも書いたような職場になってしまい、私共としてもお客様へ素直に対処する気持ちが、徐々に薄れてきてしまっていると思います。
ただ、必要最低限のことだけはしなければと思いながら、日々ハンドルを握っています。

安全運転は全てに優先する事柄です。やはり、どんな時でも運転が荒くならないように心掛けなければいけませんね。
車内アナウンスに関しては、私もvanagon714さんのご意見とほぼ同じ考えを持っています。ところが、本文にも書いたような事情で余分なアナウンスまでしなければならず、中々自分の理想どおりにはアナウンスが出来ません。
最終的には、やはり「誠意を持って対応する」こと(アナウンスも含めて)が、お客様には一番好感を持って頂けるようですね。
不満の多い職場ではありますが、自分なりに「誠意」と「丁寧」を心掛けようと思います。

投稿: vanagon714さんへ | 2010年1月10日 (日) 23時01分

>suzuran6さんへ
suzuran6さんは都市部にお住まいのようですので、バスの走行条件は私共とほぼ同じかな、と思います。
そんな中にあって、やはり私共の職場で「最低限これくらいは言いなさい」と言われていることが、suzuran6さんの地域でもアナウンスされているようで、まあある程度のサービス精神は持たざるを得ないのかなと思います。また、自分が口に多少の障害があるとは言え、崩し過ぎない程度の喋り方は心掛けなければいけないなと思います。

鉄道に関しては、私共の職場の鉄道編のマニュアルを読まされたことがないので、正直申して判らない点が多いですね。
でも、バス部門と共通のスポットアナウンスもあるようで、電車に乗りながら「ああ、自分たちと同じことを『言わされて』いるな」と感じることはままあります。
私たちの倍以上の容積のある鉄道車両ですから、「慣れた振り」の崩し過ぎアナウンスは、聞き取れないケースが多発すると思います。折角喋っても無意味にならないような「最低限のマニュアル」は、どの職場においても作って欲しいものですよね。

投稿: suzuran6さんへ | 2010年1月10日 (日) 23時15分

こんばんは。
職場の環境の件で気になったのですが、
こっそり添乗する職員がいて、一度でもアナウンスを忘れたら
即刻つるし上げるというのはどう考えても不適切ですね。
乗客の生命を預かるドライバーにプレッシャーをかけること自体
安全管理上好ましくありません。
やはりアナウンスは安全上の必要最小限にとどめるべきで
写真にあるようなエコキップの宣伝などは音声ファイルに入れて
勝手に流れるようにすれば良いことですね。
管理者の方は基本的な部分を忘れないでほしいです。

投稿: vanagon714 | 2010年1月11日 (月) 21時03分

>vanagon714さんへ
こんばんは。
私共から見て現在の職場のあり方は「好ましくない状況」と思っていましたが、第三者のお立場でもそう思って頂けますか。少し気が休まります。
種々の宣伝放送、本来ならvanagon714さんが言われるようにするべきだと思います。ところが私共が組合を通じて上層部にそれを申し出ると「案内放送の改定には金がかかるので、乗務員にやらせた方が安上がりである。組合員諸氏も現在の赤字状況は知っている筈なので、協力して欲しい」との回答が帰ってきます。
私共も出来ることならプレッシャーを極力少なくした状況で仕事したいものですが、全ては「金がない」の理由で、私共に負担がかかる方法を上層部は選択してきます。
上層部が考えを改めることは先ず有り得ないことと思います。残念ながらこうして益々「やる気のない企業」になっていくものと思われます。

投稿: vanagon714さんへ | 2010年1月11日 (月) 23時16分

私が札幌に居た頃、親しいJR北海道バスの営業所長経験者から
「普段はアナウンス、挨拶一切しないのに本社社員による添乗
検査の時だけきちんとやるような人が全体の2、3%いるようだ。
本社社員が乗っていることにしっかりと気づいているんだよね」
と教えてもらったことがあります。

今までは私は乗客の立場からそのように会社が一丸となって
サービス向上に取り組むのは大変良いこと、とばかり思って
いましたが、運転士側の立場にまわると、自由度が減らされ
ギスギスした方に向かっている、ということにつながってい
くのか、と考えさせられています。

投稿: 幹星丘2一利用者 | 2010年1月13日 (水) 14時57分

>幹星丘2一利用者さんへ
そうですね……難しい問題にもつながっていきますが。
確かに乗客サービスの観点からは、こうしたアナウンスを適度に入れるのは好ましいことだと思います。問題は、それを強制して、本社の社員などが添乗などもしてチェックすることにあるのかな、と思います。
私たちとて生身の人間ですから、うっかり言い忘れることもありますし、お客から理の適わない苦言を言われて不快な気持ちの時に「一々アナウンスなどしていられるか!」との気分になっている時もあります。
そうした諸事情を一切考慮に入れずに強制されると、逆にやる気が下がっていってしまいますよね。

私たちの職場の場合は、あまりに上層部が我々を「機械物扱い」しているから、こうした不条理がまかり通ってしまうのではないでしょうか。また、3回添乗して3回ともアナウンスがなければ、多少の注意も止むを得ないでしょうが、一度の添乗でその人を全て決め付けてしまう姿勢は問題があるように思いますね。あくまで、私個人の考えですが。

投稿: 幹星丘2一利用者さんへ | 2010年1月13日 (水) 22時38分

昔名古屋南東部のM営業所に歳時記を語り出す運転手さんがいたのを思い出します。
一利用客としては少し驚いたものです。

投稿: リニモ1号 | 2010年1月20日 (水) 16時33分

>リニモ1号さんへ
私たちが現在の職場に入った頃は、まだ「長閑さ」が残っていました。
私が最初に配属となったN車庫では、OB乗務員ですが名古屋城周辺の桜並木を案内する者がいて、新聞のコラム欄にも載ったことがあります。ただ、当時既に、この行為を車庫の一部の乗務員は「俺たちは観光バスじゃないんだから」と非難めいた口調で話していました。
また、現在私がいる車庫でも、私が異動した当時にいたOB乗務員が「手品の出来る運転手」としてテレビにまで紹介されたことがあります。

乗務員にも自由が残っていて、皆がそれぞれに大らかだったと思いますね。

投稿: リニモ1号さんへ | 2010年1月20日 (水) 21時26分

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