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2009年11月27日 (金)

同士への合図

仕事絡みの話になるのだが。

仕事をしていて、仲間に合図を送る機会は非常によくある。最もよく見られる例としては、運転手同士ですれ違った時に挙手をする、あの合図である。これはバス乗務員でなくとも多くの方々が知っている。人によっては「あの挙手は安全運転に支障があるから止めさせろ」と営業所や本社に電話を入れる暇な方まである。

挙手に関しては、また別の機会に譲るとして、他にもドライバー同士での合図は色々ある。一般ドライバーの方でもよくご存知なのが、対向車のパッシング。これは敢えて詳しく書かないけれども、「この先で何かがありますよ」の合図だ。

また、同じパッシングでもトンネル区間が多い所では、ライトの消し忘れを教えてくれている場合もある。自分が走っている場所を的確に判断して、的確な操作をする感覚はどのドライバーも持たねばならないだろう。

ところで、バスの運ちゃん業をしていると、この他にもバス独自の合図を送る必要が生じる場合がある。同じ会社同士では仲間意識もかなり強くなるので、お互いに注意しあって少しでも安全・確実な運転をし合おうとの意識が働くのは当然だと思う。

先程のパッシングにしても、バス同士だと別の意味を指す場合がある。これは、運転している本人が意外と気付かないものだから相手には感謝すべきことなのであるが、一番多いのは「ヘッドライト(或いはスモールライトなど)が球切れしているよ」と教えているのである。バスは夜でも走る機会が多いから、灯火類の球切れって、一般の方が想像している以上に多いものである。

また、私たちは祝日や交通事故死ゼロの日には、国旗や交通安全旗を取り付ける。取り付けたはいいが、翌日になっても外し忘れていることが往々にしてある。これは、すれ違いざまに自分の運転席にある旗を振ってやったりして対処できる。

それから、バスの場合は方向幕に関する合図も多い。方向幕が間違った表示をしていたり、夜になっても方向幕灯を付け忘れていたりと云うことは結構ある。

こう云う時、昼間ならパッシングをしてすれ違いざまに幕を巻くハンドルを回す仕草をする。大体の場合、これでお互いに通じ合う。夜だと、すれ違いざまに一瞬だけ方向幕灯を消してやる方法が有効だ。これで「方向幕に何らかの異常があるよ」の合図になる。

然るに最近、LEDの方向幕が増えてきた。LEDの場合、異常を知らせる方法は昼夜とも同じである。幕灯の「夜の場合」と同じことをLEDでしてやれば良い。つまり一瞬、表示を消してやれば、相手には何らかの異常があることは通じる。

然しこれには問題もある。というのは、LEDの表示装置の取り付け位置の問題なのだけれど。

Dscn5408

私たちのLED表示装置の例である。LECIP社製のものを用いている。私たちのLED表示は案内放送装置と連動しているので、今では余程のことがない限り誤表示することはなくなった。でも、例えば回送で車庫などへ戻る際に、本人は装置を操作したつもりでも実際には操作されていないくて、営業運転の行先表示のまま回送してしまうケースが稀にある。そんな時に、写真にある表示装置の「ON・OFFスイッチ(左上隅にある)」を切ってやる事で、相手にこちらの意思を伝えることは可能である。

だが、これはハンドル周りにLED表示装置がある場合に限られる。上に示した写真のようなレイアウトに限って可能なことなのである。

車両のメーカーによって、或いは最近の私たちのようにクラッチ式の車だったりすると、あの表示装置の部分にクラッチオイルのタンクが配されることが多いようだ。そうなると、表示装置は別の位置に移動せざるを得なくなる。最もよくある例を運転手目線でお見せしよう。

Dscn5397

運転席の遥か上に表示装置がある。とても手を伸ばしただけでは届かない位置だ。今ではシートベルトは当たり前だから、相手の方向幕の異常に気付いても咄嗟に表示装置のON・OFFスイッチには手が届かない。心の中で「あ、あ、あ……」と思っている内にすれ違いが終わってしまうケースが殆どだ。LEDの方向幕表示は、運転手からは表示装置のコード番号でしか識別できないから、自分では異常に気付かないまま走り続けるケースが非常に多いのである。

すれ違う時に、何でもいいから派手なジェスチャーで相手に異常を知らせる手段もある。だがこれだと、具体的に何の異常があるかを相手に正しく伝えることは難しい。それに、お客様から「運転手同士の派手な挨拶」と誤解される恐れもある。

運転手同士では、今はそう云う派手な仕草を禁止している事業者が多い。だが、伝えるべき重要なことは出来る限り伝えたい。そう云う時に、お客様の側も単に「運転手がすれ違いざまに派手な仕草をして不快だった」と苦言の電話のネタにするのではなく、何かあったのではないか、との見方をして頂けると我々は大変有難い。

人様の命を預かる仕事をしている限り、遊び半分でジェスチャーすることは近年まず有り得ない。大変重要なことなので、その点をご理解頂けたら、と私は常々思っている。

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コメント

クレーム‥あるのですか?
ありますよね、昨今は、何でもクレームとして食いついてきますから、今ここで私が使っているネットの匿名性もそれを助長している様で怖い時もあります。
挙手での挨拶、私は見ていて心地良いので、どんどん行って下さい。

投稿: suzuran6 | 2009年11月29日 (日) 17時39分

こんばんは。

パッシングは譲る時とかに「先に行きなさい」の合図にもなりますよね。
こちらの車庫はそちらの車庫よりも「先に行きなさい」の合図が多いような気がします。

中には「そこまでして譲らなくても・・・」と思う場面もあります(^^)

投稿: 企4 | 2009年11月29日 (日) 19時03分

>suzuran6さんへ
挙手による合図、結構クレームの対象になっているようです。一瞬でも片手運転になるからとて、私たちの職場では一時期、この「挙手」を禁止されたこともあります。まあもっとも、殆どの人は言うことを聞きませんでしたけれど。

クレーマーと云う種族は、何にでもいちゃもんをつけてきます。私が高校生の時、「屁理屈とハナクソは何処にでもくっつく」との名言を吐いた教師がいましたが、現在ではその意味がしみじみと判りますよ……。

投稿: suzuran6さんへ | 2009年11月29日 (日) 22時32分

>企4さんへ
そうそう、パッシングのことで「お先にどうぞ」は書き忘れていましたね。言葉に拠らない合図は、車の世界では色々ありますね。

企4さんの車庫の方々は、本当によく道を譲ってくれます。たまにしか入らない平住などへ行くと、私も恐縮するくらい譲って下さいます。すれ違いの難しい道路が多い関係もあるかも知れませんね。

投稿: 企4さんへ | 2009年11月29日 (日) 22時45分

挙手については、色々とクレームがあるそうですね。
職場の皆さん、勤務時間や走る路線もマチマチなので顔を合わせない事が多いので、挨拶代わりに挙手しているのですが、クレーム出す人は知っている人に会ったら挨拶しないのでしょうかね??

先日帰省して、赤白車が絶滅の危機にある某大手バス会社のドライーバーが面と向かっても一切挙手しなくなりました。たまに目配せや会釈はしていましたけどね。
何かあったのでしょうね。
一抹の淋しさを覚えました。

投稿: N市のT | 2009年12月 3日 (木) 16時26分

>N市のTさんへ
「一瞬でも片手ハンドルになるのは危険だ」が挙手合図へのクレームの理由なら、MT車は危険極まりない車と云うことになりますね。
挙手は、仰せのように互いの労を労う「挨拶」と云う位置づけですが、クレームを付けたい方はどんな理由でもくっつけてくるのでしょうね。つまらない方々だと思います。

そうですか。あの赤白車が絶滅危惧種となっている某大手バス会社では、挙手がなくなりましたか。
やはり、クレーマーからのつまらない意見が幅を利かせてしまったのでしょうね。世知辛い世の中になりましたね。

投稿: N市のTさんへ | 2009年12月 3日 (木) 21時08分

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