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2009年9月29日 (火)

人間の器用さと慣れと

Dscn49843

上の写真は、ご覧の通り、3扉バス車両の扉開閉レバー。画面左から順に前扉・中扉・后扉のものである。

私たちの職場では、私が職場に入る前の1987年に3扉車が試験導入され、翌1988年から本格的に導入されるようになった。以来、1997年までの11年間、大型ツーステップ車に関しては3扉が標準装備となった。

それにしても、初めて3扉車を見た時、こんな3つの開閉レバーを間違いなく操作できるものなのかと、大変不安な気持ちになった。私が具体的に現在の職場へ入ろうと心を決めたのが、ちょうど3扉車試験導入時の1987年のことなのである。2つの開閉レバーなら多分こなせられるだろうけれど、3つとなるとかなり頭の中で考えなければいけない複雑な操作になるのでは、と思ったのだ。

それでも、人間の脳みそは器用に出来ているようである。少なくとも私が知る範囲では、扉の開閉レバーを間違えたために、お客様を挟む事故になったとの話は聞いていない。ご参考までに、現在の新しい車の開閉レバーの写真も載せておこう。現在は2扉に戻っているから、レバーも2つしかない。

Dscn50352

大変シンプルで、見た目には矢張りこちらの方が操作しやすそうだ(註:レバーの左側に写っているのは電動サイドミラーの調整スイッチで、直接この記事には関係ない)。

実際に自分がこの職場に入って、いざ3扉車に乗務するようになると、不思議なものでそれ程複雑な操作とは感じなかった。写真を見て頂けばお判りのように、最後部扉のレバーには、黒いキャップが被せてある。これが一番の助け舟になっていると思う。指の触感で、中扉と后扉の間違いは防がれているのだ。

そして、職場に入って1ヶ月もしない内に、3扉車だからと不安がる気持ちも全くなくなっていた。「慣れ」によるものだろう。人間って実に器用に脳の仕組みが出来ているのだなあと、この当時はつくづく感心したものである。

先程も触れたように、現在は2扉に戻っている。3扉化の最大の理由は、ラッシュ時の降車客を早く降ろすことにあったのだが、正直言って期待したほどの効果がなく(中扉にお客は集中するものだ)、結局1998年からは中扉を4枚折り戸のワイド扉とした2扉仕様に変更されたのだ。
更にノンステップ車しか導入しないとの本社の方針も相俟って、現在では実質3扉車の導入は有り得ないと言っていいだろう。2005年に国土交通省の定めた「標準仕様ノンステップパス」も、2扉車となっている。

こうして、3扉車は新車が納入される度に数を減らし、現在、私の車庫では104両中7両だけの極少数派となった。その7両も、廃車延長の措置が取られなければ、今年度中に全車が廃車となる予定である。

今では稀に3扉車に乗務すると、再び2扉に慣れてきているので、確かにちょっと煩雑な気はする。でも、扉の開け間違いなどは別段ない。まだ、指先が3扉車の感覚を覚えているのだろう。

こうした器用な感覚はある意味、人間に残された「動物的本能」の名残りなのかも知れぬ。


関係ない余談:下の2扉車の写真、よく見て頂くとお気付きになると思うが、扉の説明タグがどちらも「前扉」となっている。写した車は2006年に入ってきた車だから、修理時などの付け間違いではない筈だ。多分納入時から、メーカーが誤ってつけてきたものだと思われる。たまには、こんなエラー車両もあったりするのだ。

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コメント

こんばんは。
3扉車が珍しい我々からすると3扉は色々難しいです。

前と中しか開けなかったり、前も開けないといけないのに中と後ろだけ開けてしまったりと・・・

あと車内からのステップ確認も3扉は難しいですね。

操作ミスを避けるため、降車扉は2個とも同時操作にしています。

投稿: 企4 | 2009年9月29日 (火) 23時14分

>企4さんへ
そうですか……。言われてみれば、企4さんが入られた頃には、3扉車は既にかなり少なくなっていましたものね。
その辺りは私たちの「慣れ」なのかも知れませんね。

基本的に2或いは3扉の同時扱いは「人間の目が二箇所以上を同時に見ることはできない」との理由で、本社サイドはあまり勧めていません。でも、本人がその方が安全に操作できる、と思うのならば、私はそれでいいと思います。ミスさえしなければそれでいいのですから。
何しろ、人様の命を預かっている立場ですから、事故がないようにするのが一番ですよね。私も「慣れ」に溺れないよう気をつけたいと思います。

投稿: 企4さんへ | 2009年9月30日 (水) 14時34分

私が高校生だった頃はモノコック車、2扉車、3扉車、3扉リフト車と様々なバスが走っていましたが、3扉のバスに一番多く乗ったように思います。恐らく集中して運用していたんでしょうね…。

投稿: リニモ1号 | 2009年9月30日 (水) 18時20分

>リニモ1号さんへ
そうですね。以前は色々なタイプの車両が混在していましたよね。

ところで、3扉車の集中運用に関しては「どうかな……」と思います。
リニモ1号さんが高校生の当時であれば、まだ「担当車制」が残っていた時代と思います。「担当車制」とは、各個人の乗務するバスが基本的に決められていることで、自分が基幹バスを担当車として貰ってしまえば、毎日毎日基幹バスばかりを運転していました。ただ、「自分のバス」との意識が浸透するので、例え古いバスでも自分の担当車になると、運転席にちょっとした飾りをつけたり、皆それぞれに自分のバスを大切にしたものです。
運転手の担当ダイヤローテーションは、これまた別個に定められていて、各人、自分のローテーション通りにダイヤを担当しています。そして、担当車制時代は運転手のローテーションに合わせて「車両も担当運転手通りにローテーションされていた」のです。
ですので、ある特定の路線に特定の車が集中的に運用されることは、基幹バスや特定の系統を除いては、あり得なかったのです。

リニモ1号さんが高校生の時分は、3扉車が大変多く配置されていた頃だと思います。「たまたま」だったのではないかな、と私なりに推測致す次第です。

投稿: リニモ1号さんへ | 2009年9月30日 (水) 23時25分

3扉車もあと僅かとなりましたね。
全国的にも3扉車は珍しいです。
N市で廃車になって熊本に行ったF車がありますが、3扉のまま使っていましたが、「使いにくい」と言っていました。
安全性からいえばやはり2扉車の方が優れているのではないかと思います。

投稿: N市のT | 2009年10月 1日 (木) 21時28分

>N市のTさんへ
自分が入社した時には羨望の眼差しで見た3扉車ですが、他の方の意見などもお聞きすると「厄介」のイメージが強いようですね。安全度の高い車両に越したことはありません。
私たちの廃車を使っているのは、熊本の市営バスでしたよね。あそこは確か「後乗り・あと払い」の筈でしたが、そうすると「乗せるのは後と中の両方の扉、降ろすのが前扉」と云うことでしょうか。確かに、私たちと逆ですから扱い難いでしょうね。

投稿: N市のTさんへ | 2009年10月 2日 (金) 20時18分

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