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2009年7月24日 (金)

秘境駅・坪尻の記録

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先日の土讃線撮影紀行で「後日別掲とする」と書いた坪尻駅のことについて、画像を交えながら記して行こうと思う。

それは兎も角として、先日の撮影紀行では「薬を忘れて、体調を大いに崩した」旨を書いた。実際、帰りの新幹線の中では呆然と座っているだけの状態であったけれど、帰宅してきちんと薬を飲んで養生したら、仕事をしながらでも意外に早く復調した。今日は旅行から戻って4日目になるが、ほぼ従前と同じ体調になっている。

余分なことを書き過ぎたばかりに、ブログを読んでくださった多くの方から「体調はどうですか」との温かいお言葉を頂いた。お蔭様で無事復活しているので、この場を借りて取り急ぎ御礼とお詫びを申し上げる。「心配して下さった皆様、有難うございました。お蔭様で元気になっています。ご心配をお掛けしまして申し訳ありませんでした」。

さて、再度、仕切りなおしで。スイッチバックの秘境駅、坪尻の探訪記を書く。

私は、坪尻駅へは12時32分着の下り247D列車でやって来た。この列車は列車番号からも判るように、車掌が乗務している。1両きりのキハ54での運行だったが、よくよく時刻表を見てみると、意外にレチさんが乗務している列車も多く走っている。

多くの方はご存知だと思うが、ご参考までに申し上げておくと、JR四国の普通列車では列車番号が4000番台の列車はワンマン運転、それ以外はレチさんが乗務している(土佐くろしお鉄道からの乗り入れ列車を除く)。

まずは、自分が乗ってきた247Dが坪尻から発車していく画像を2枚ほど。

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秘境と言われるのに相応しく、列車が去ってしまうと辺りは静まり返ってしまう。幽かに、上を行く国道32号線の車の音が、鳥のさえずりに混じって耳に届くだけだ。

民営化後、土讃本線は「土讃線」と名前を変えられてしまったが、岡山や高松と高知方面とを結ぶ幹線であることに変わりはない。普通列車は滅多に来ないが、特急の「南風」や「しまんと」は、上下共に1時間に最低1本の割で通過する。上の写真をご覧頂けばお判りかと思うが、坪尻は通過本線に並行する形で駅ホームが設けられている。だから、ホームにのんびり座っているだけで、特急列車の通過も否応なしに判るようになっている。

今度ホームに入ってくるのは、上りの246D列車で、発車時刻は13時57分である。通過列車の写真は1枚撮ってしまえば十分なので、少し駅付近を散策してみることにした。

駅舎を出て、いっとう初めに目に付いたのは、この看板。

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過日、ヤモリの話題の時に書いたけれど、蛇はどうにも好きになれない。男であるから、見つけ次第悲鳴をあげて逃げ出すような真似はしないが、マムシの場合は毒を持っているから、やはりいい気はしない。足元に気をつけながら、ほぼ叢と化した駅前を歩いていく。

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坪尻をスイッチバックにしなければならない証が、駅向こうの本線線路脇に立っていた。1000m行く毎に何mの上り下りがあるかを示す「勾配標」で、右上がりに『25』との数字は1000mで25m上るだけの勾配があることを示している。百分の1は「パーセント」だが、千分の1なので「パーミル」と呼ばれる。そして、鉄道界において25パーミルの上りと云うのは、かなりの急勾配であることを示している。この数字の所に列車が停止したら、再発進は不可能だ。だから、今でも坪尻駅はスイッチバック方式のまま残っているわけだ。

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プラットホーム側から見た、本線の25パーミル上り勾配。ホーム側の線路はほぼレベル(平坦)に敷かれているから、かなりの急角度で上りになっていることがお判り頂けるかと思う。

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順序があれこれしていけないが、駅横にある踏切。向こうの奥に洞窟のように見えるのが、国道とを結ぶケモノ道だ。撮影紀行で書いたように、国道からは600mもの距離があるそうで、そこを通り抜けてきた老夫婦が語るところでは、「途中で竹の木は倒れているわ、草に覆われたようなところもあるわで、本当に駅に辿り着けるかどうか、不安でした。テレビで秘境駅と紹介されるのも、判りますなぁ」だそうだ。

駅の説明書きによると、現在この駅を定期的に利用する客は、80代の老人一人だけだそうである。ただ、私のような不定期客が休みの度に訪れるので、そう簡単に駅を廃止する訳にはいかないらしい。元々は信号所として出発しているところで、地元民の便宜を図るために「駅」に昇格させたそうだが、その80代の老人がいなくなったら、この駅はどうなるのか、ちょっと気になる。

そうこうする内、上り普通列車の時間になった。遠くからディーゼルエンジンの音がこだまして、先程私が乗ってきた列車が阿波池田で折り返してやってきた。

ただ、この駅はホームが1面しかない。だから、普通列車同士での交換があれば、一方は駅ホームへ入っても、もう片一方は通過してしまうしかない。需要が少ないから普通列車の通過も止むを得ないが、何とも侘しい駅であることは確かだ。

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この写真では、ホームに停まるのが上りの246D、本線を走って通過していくのが下りの4255Dである。

列車交換が終わり、上り列車が発車し、もう見るものもないからと先程の老夫婦も再びケモノ道へ消えて行った。下りの阿波池田方面へ行きたい私は、一人、駅舎で待つしかない。暇つぶしに駅のノートを見てみたら、人によっては駅舎を出ようとした所でマムシ殿に「こんにちは」してしまった人もいるようだ。やはり、気をつけるに越したことはない。

私は、3匹の蚊に攻撃を受けただけで、何とか14時53分発の下り・阿波池田行きを迎え入れることが出来た。折角なので、下り列車がホームへ入ってくる様子を4枚の画像でご紹介する。

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下り列車の場合は、まず列車は駅を行き過ぎる形で、駅向こうの折り返し線へ入る。

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折り返し線に入った下り列車。

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バックして来る下り列車。列車番号は257Dで、つまりは車掌乗務の列車。車掌が乗務している場合は、後退時の見張りは車掌の役目になり、運転士は運転台を前後に移らない。ワンマンの場合は、運転台を移って後退する。

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無事にホーム側の線路に、下り列車が入ってきた。私もこの列車で佃へ向かうので、坪尻駅の記録撮影もこれまでとなる。

こんな感じで、のんびりと2時間半余りを過ごしたのであった。まだこの時点では薬を忘れたことは判っていないし、昼食時の薬はポケットに入れてあったからちゃんと飲んでいる。あの悲劇が始まるのは、このあと2時間ばかり後のこととなる。

悲惨だの悲劇だのと書き過ぎて、またお読み下さっている方々にご心配をお掛けしてもいけないから、そのことはもうこれ以上触れない。

ただ、これだけで終わってしまうのも何か中途半端な気がするので、ちょっと思い出して、私が初めて坪尻駅に停車した列車に乗った時の映像を最後におまけとして添付しておこうと思う。

日時は1983年8月30日、私が初めて四国を訪れた時のものだ。この時は、当時、高知県の中村市に住んでおられた私の「大恩師」のお宅で散々ご厄介になり、その帰りにこの列車に乗った。坪尻を8時29分に発車する224列車であるが、「下り列車との行き違いのため、5分ほど停車します」との車内放送があったので、何が来るかと窓からカメラを向けていたら、こんなのが来た。

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終焉間近のDF50牽引の貨物列車だったのである。私が「生きている」DF50を見たのは、これが最初で最後であった。

何として、もう26年も前の話だものねぇ。秘境駅に相応しい列車に出会えたのは、本当に僥倖だったと今でも思っている。

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コメント

こんばんは。
体調回復されて何よりですね。

スイッチバックの秘境駅、いいですね~
急勾配ですぐに段差になるあたりたまりませんね。

DF50は私も一度しか会ったことがありません。
83年といえば関西に就職した年なので、今思えば四国に行っておけば
良かったなあと思います。

投稿: vanagon714 | 2009年7月25日 (土) 00時52分

>vanagon714さんへ
こんばんは。

体調に関しましては、本当にご心配をお掛けし、申し訳ありません。

スイッチバック式の駅で、駅ホームのすぐ前を本線が走っている駅は比較的少ないと思います。そんな事情から、目の前で急勾配を上る列車が見られるこの駅は、ホームにいるだけで見ごたえのある風景を楽しめます。「鉄」には堪らない駅の一つですよね。

DF50、その昔は名古屋に近い亀山にも配属がありましたが、そんな当時、私はまだ中学生で、亀山へ行く費用もろくろく持ち合わせていませんでした。26年前のこの駅で、出会えた偶然が、今でもとても印象的で忘れられないシーンになっています。

投稿: vanagon714さんへ | 2009年7月25日 (土) 22時56分

体調回復なによりです。
坪尻駅にはちょうど2年前の同時期に行きました。
『秘境駅』というだけあって趣がありますね。

DF50には四国と南宮崎で会いましたが、ロクな画像がありません。

コラボしましたので、ご覧下さい。

投稿: N市のT | 2009年7月26日 (日) 19時31分

>N市のTさんへ
体調、ご心配をお掛けしまして申し訳ありませんでした。
お蔭様で、すっかり良くなりました。体がかったるいのが残っていますが、これは単なる夏バテの前兆で、ごくごく当たり前のことだと思います。

秘境と言い出したのは、地元のテレビ局らしいですが、決して間違った表現ではありませんね。
他の人がやって来なければ、本当に静かで、都会の慌しさを忘れさせてくれる駅だなと思いました。
我々のように時間に追われて仕事する者にとっては、こののんびりさを忘れずにいたいものだと痛感しましたね。

投稿: N市のTさんへ | 2009年7月26日 (日) 23時12分

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