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2009年4月 3日 (金)

アクセルロック機構

ここのところ、自分の仕事に関するような話題続きだけれど、まあ、そう云うこともあっていいじゃんと一方的に話を進めさせて頂く。

バスに興味が薄い方には、何のことやら判らない話題かも知れないので予め申し上げておくと、車両のドアが開いている間、安全のためにアクセルが踏み込めないようにする装置の話である。

これは、観光・高速仕様のバスにしか乗務経験の無い方だと、ご存じないかも知れない。と云うのは、前扉の他に中扉或いは後扉が装備されたバスにしか一般的にはアクセルロックはないからだ。前扉を閉め忘れて走り出してしまう乗務員は少ないと思うけれど、私のようにおっちょこちょいな乗務員だと、後ろ側の扉を閉め忘れて発車してしまう可能性がある。それだけならばまだ良いが、開いたままの扉から乗客が放り出される恐れだって十分にある。そんな事故を防ぐための有難い装置の話なのだ。

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バスの車種によって、アクセルを踏めなくする---即ちアクセルロックの機構は多少の差異がある。一例ということで、これは日野のブルーリボンシティ低床車に付けられているアクセルロック。矢印が指している銀色の金属のパイプみたいな奴が、アクセルを踏めないように床下から上方向に圧力を加える。前扉以外のドアが開いている時は、これの圧力でアクセルが踏めないから、発車することも当然叶わない。

この車種では、この銀色のパイプは常にアクセルと一緒に踏み込まれる仕組みだが、アクセルロックしたい時だけ床下から同様なものがぴょこんと飛び出てくるタイプの車もある。

どの車種にしても、アクセルを踏み込むのを妨害する装置は、ドアやブレーキと同じエアタンクに溜められた空気圧に頼って作動する。だから、空気圧が十分に溜まっていない時は、アクセルロックも働かない。ただ、空気圧が溜まっていないのに発車しようとすると、どの車種でもブレーキや自動扉開閉に支障があるので、パーキングブレーキを外した時点で大きな警告ブザーが鳴る仕組みになっている。どちらにしても、空気圧が正常範囲内にないと、運行は出来ない訳だ。

開いていた後ろの扉が完全に閉まり切ると、路線バスでは運転席の方で「コトン」とか「カチャッ」と云うような音が聞こえる筈だ。これは、空気圧がアクセルロック装置から抜けて、アクセルをロックしていた装置が解除された時の音なのである。

ダイヤが遅れ気味になって急いでいる時には、このアクセルロックが外れるのさえ、もどかしく思えることがある。特に私たちの職場では、初期の低床車には後ろ扉にもグライドスライドドアが採用された。

Dscn_2

これもブルーリボンシティの写真だけれど、この「グライドスライドドア」は開閉に時間がかかるという難点がある。勢いよく開閉してお客を挟んで怪我をさせる危険性は少なくなるが、今書いたように、一刻も早く発車したい時には、ちょっとイラついてしまうこともある。私たちの職場のバスが、初期車だけグライドスライドドアになっていたのには別の事情もあるが、話すと長くなるからここでは端折る。

ところで、Allison社製のトルコンを採用したJバスブランドの車では、アイドリングストップをした際にもアクセルロックがかかるようになっている(ふそうのトルコン車が私の車庫には在籍しないので、Allison社製なのかどうか判らない。その点はゴメンナサイ)。アイドリングストップ時にはエンジンを始動して完全に発車体制が整わないと、アクセルロックは外れない。完全にエンジンがかかり切らない内にブレーキペダルから足を離すと、これまた「ピピピピピ……」と警告音が鳴る。私はこの警告音が耳障りで、余計、バスのトルコン車が嫌いなのだ。

Dscn_3

これは、MT車で言うなら、チェンジギアがある部分の写真。後部扉と共通だが、アクセルロックがかかっている時は、右側の赤い表示灯が点灯している。読み辛いが、赤い表示灯に「インターロック」と書かれているのがお判り頂けるだろうか。この表示灯が点灯している限り、Allison社製のトルコン車ではアクセルが踏み込めないことになる。ZFのトルコン(UDなどが採用している)では、トルコンのセレクトスイッチが押しボタン式になっていて、この表示灯もない。エンジン始動と同時にアクセルが踏めるようになっているから、その点に限ってはZFの方が私の好みに合う。

少々専門的なことも書いてしまったが、安全のために、一般のお客なら知らない機構が結構あるものである。

尚、先程書き忘れだが、前扉は原則として開いていてもアクセルロックしないようになっている車が多い。特に観光バスなどでは、バックの際にガイドさんの誘導の笛が聞きづらいからとて、前扉を開けて車を動かすこともある。原則的に、前扉以外の扉が開いている時の安全装置だと思って下され。

また、扉故障など緊急の場合のために、このアクセルロック自体を解除する緊急レバーがあることも付記しておこう。

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コメント

こんばんは。
中央バスの古い赤白車で中扉が途中までしか閉まらないようなことがあったのを2度ほど目撃しました。
そういうときはアクセルロックが解除されなくて発車できないように
なっているのですね。
1台目は扉の動きが渋くなっていたようで、何度が開閉を繰り返すうちに
最後まで閉まりきりました。
2台目はステップのセンサーがおかしくなっていたようで、こちらは運転席で操作して
閉まるようになったみたいです。

アクセルロックがあるために中扉が閉まって前のほうから「プシュッ」と
音がするまで加速できなかったのですね~
納得しました(^^)

投稿: vanagon714 | 2009年4月 3日 (金) 23時46分

>vanagon714さんへ
中扉が閉まらなかった時、多分運転手の方は内心凄く焦られたと思います。ご納得頂いたとおり、この装置が作動してしまいますから。

私も営業運転中に中扉が閉まらなくなって困ったことがあります。これは、雪の多い地方の運転手ならすぐ判る事だったようなのですが、雪が降り積もった時に、車外のセンサーに雪が付着してしまい、扉の開閉ができなくなったというものでした。この時は、センサーを無視して扉を閉める「強制戸締めボタン」を使って凌ぎ、暫く走ってから原因に気付きました。
あとでこの話を後輩にしたら、彼は雪道経験が豊富だったので、「そんなことも知らなかったんですか」と逆に言われてしまい、恥ずかしい思いでしたね。何事も経験が大事なようです。

投稿: vanagon714さんへ | 2009年4月 4日 (土) 00時12分

アクセルロックという機構があるとは、全然知りませんでした。
やはり営業目的の車には、普通の車にはない安全装置が存在してい留ものなのですね。勉強になりました。
私たちはどうしても、バスの外見ばかりが気になってしまいがちですから。

投稿: 両口屋是清 | 2009年4月 4日 (土) 23時06分

外のセンサーに雪が付着したり、泥で汚れたりしてドアの開閉が出来なくなる事がありますね。
北海道で乗務していた時はドアが凍てついて開かなくなった事があります。たたいて蹴っ飛ばして開けました。

最近のインターロックはガチガチで遊びがないですね。昔のモノコック車は踏むとグニュッといきましたね。車によってはガバガバなやつもありました。

グライドスライドは前ドアはいいですが中ドアはいただけませんね。閉まるのが遅いので参ります。それに降りるお客が前に出すぎてセンサーに引っ掛かって「ビー」っと鳴ったままでドアが開きませんもね~。

大型車のオートマチックはまだまだ発展途上ですね。
反応が鈍くてイライラします。回転が上がっているのに加速しないのも困りますね。どこに抜けているのでしょうね。自分の思い通りに動いてくれないのでストレスになります。
西工の尿素でないUDは最悪ですね。

投稿: N市のT | 2009年4月 4日 (土) 23時14分

>両口屋是清さんへ
バスの徹底的マニアの方ならご存知の方もあるかと思いましたが、このブログはバス・鉄道専門ブログでもないので、記事にしてみました。
ご理解頂ければ幸甚です。

営業用、というか、以前乗っていた某女子短大のバスでもそうですが、それなりに「見えない安全装置」はついていますね。「光電管」という安全装置もあります。これは、扉の開閉を阻止するセンサーですが、たまに後ろ扉を閉めようとしているのに、お客がステップなどに降りていて、ブザーだけ鳴って扉が閉まらないって状況をご覧になったことはありませんか? あれは、光電管のお陰なんですよね。

運転手しか一般的には知られていない事柄については、今後もちょくちょく書いていくつもりです。乞うご期待!

投稿: 両口屋是清さんへ | 2009年4月 4日 (土) 23時46分

>N市のTさんへ
流石に、名古屋ではバスの扉が凍りつくまで行きませんね。ただ、高校時代に、地下鉄の鶴舞線で、雪が降った日に扉が凍り付いて開かないトラブルはありました。雪に関しては殆ど対策ゼロということですよね。

熱田の某専門学校で乗っていた元市営バスは、市営時代の車番で言えばH-39とかH-54とかで、微妙に柔らかいアクセルロックを体験しました。あのバス、今でも使っているのじゃないかな?と思いますが。

旧NHのグライドスライドの後ろ扉は、仰せの通りで、気分に余裕がない時はイライラを増長させますね。あれは精神衛生上よろしくありません。T爺さんのような気の長い方に、ああ云うバスはお任せすべきです。私のような短気者には不向きです。旧NHの利点は、予熱暖房とスライドスロープくらいで、あとは碌な車じゃないですね。
非尿素NNに至っては、スライドスロープを除けば、一刻も早く廃車にして欲しい存在です。

まだ発展途上のトルコン車に、ご丁寧にデシタコなど付けてくれましたから、私は嫌味の意味で、わざと赤ランプを点灯させまくって走っています。こちらが意図していないのに勝手に高速回転になって赤ランプでは、気が持ちません。
MTに戻ってくれて、心底嬉しく思っています。

投稿: N市のTさんへ | 2009年4月 5日 (日) 00時04分

お久しぶりです。

熱田の元市バス車両は平成16年3月に廃車され八海村の業者に引き取られた後、三重の方で解体されました。

昭和53年のREが2台、昭和55年のRCが1台ありましたが、非冷房のワHR-600あたりのバスも活躍していたらしいです。

その後元名市交の昭和59年だったか60年のP-HT225AAのバスもあったらしいですが、噂だと四国に行ったそうです。

投稿: 企4 | 2009年4月 8日 (水) 20時45分

>企4さんへ
お久しぶりです。情報有難うございます。
そうですか、平成16年に廃車になりましたか。あの学校はものもちがいいと言うか、ゴミのような物でも何年にも亘って使う学校ですからね。ただ、ワHR仕様の車はありませんでしたよ。勤めていた私が言うのですから、そこは間違いないと思います。元H車の初期の冷房なし車を、三河方面の姉妹校で使っていた事実はありますが(三河の学校へ回送で持って行ったのが、他ならぬ私ですので)。

JRの熱田駅前にあの学校の車庫がありますので、近い内に様子を見に行ってみようと思います。多分、また市営のお古を購入していると思いますが。
あそこに勤めていたのも、20年近く前になりますもんねぇ。

投稿: 企4さんへ | 2009年4月 8日 (水) 22時50分

こんばんは。
少し調べてきました。

三河の方で使われていたバスはH-35~37あたりだったようですね。
知り合いの写真を見直した所、降車口が一番後ろではなく真ん中でした。

扇形メーターパネルや3本スポークハンドルはカッコイイですが、力の無い私には重ステバスなんぞ運転できません。

投稿: 企4 | 2009年4月10日 (金) 23時59分

>企4さんへ
ご丁寧に、お調べ頂き有難うございます。
確か、三河の学校へ持って行ったのは、元H-36と37だったと思います。私が37の方を運転して行きました。

本当に古いバスで、扇形メーターのデザインも古めかしく思いましたね。3本スポークは、重ステ仕様ということでしょう。あれに時々指をかけながら、力いっぱいハンドルを回したものです。20代の頃だから運転できたのでしょうね。パワステに慣れた今ではとても……。

私がいた時は、53年式のREばかりでしたね。55年式のRCは私が退職した後で入ってきた車です。

投稿: 企4さんへ | 2009年4月11日 (土) 22時58分

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