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2009年3月 4日 (水)

基幹バスの話

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名古屋には基幹バスと云う、ちょっと変わったシステムのバスがある。

バスの走行環境の悪化はどこの都市でも重要な問題であるが、それを解決するために生まれた路線である。現在、基幹バス路線は2路線あり、初めに開通した「東郊線」は昭和57年の3月に運行を開始している。

当初は、東郊線でも道路中央走行方式を採用する予定だったが、道路交通法の問題や中央走行にする場合のバスレーンの設定の問題などが解決できず、結局これは現在でも路側走行方式として運転されている。社内では「基幹1号系統」の路線番号となっている。停車する停留所を少なくした「急行バス」のような位置づけである。

一方「出来町線」と呼ばれる路線は、基幹1号系統での失敗を土台に、入念に調査や研究を重ねた結果として出来上がったもので、上の写真のように道路中央走行方式を採用している。開通は昭和60年4月で、社内系統記号は「基幹2号系統」。これは私達の職場では初めて、競合私鉄のM鉄との共同運行となり、基幹1号系統も含めた「前乗り後ろ降り」の原則を破って、M鉄に歩調を合わせた「後ろ乗り前降り」方式を採用している。

現在、基幹2号系統は2つの路線系統になっていて、一つは「栄~引山(ひきやま)」、もう一つは「名古屋駅~猪高車庫(いだかしゃこ)」がその運行区間。基幹バスレーンの「大津通~茶屋ヶ坂」間が、両路線の走る区間になる。私達の営業所では現在、後者の路線を12仕業(平日の場合)だけ担当している。

さて、ところで「道路中央走行方式」とはなんぞやと思われるかも知れないが、早い話、路面電車と同じように走り、その乗り物がバスに置き換わっただけ、と書くとご理解頂き易いと思う。従って、バス停も

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このように、市電の電停のようなものが道路の中央に設けられている。

道路の中央を走るバスは全国的にも例がなく、特に交差点では一般車両の右折帯の更に右側に、基幹バスレーンの直進車線が設けられる形となっている。その為、開業当初は不慣れなドライバーがバスレーンを跨いで右折しかけた所へ、直進しようとするバスが突っ込むという事故が続発した。新聞記事によると開業1ヶ月で20件の事故があったとのことである。

こんな次第なので、これ以後、他の都市で道路中央走行方式を採用したバス事業者の出現は聞いていない。

さて、今まで2枚の写真でご覧の通り、バスの塗装も一般路線とは異なる色を採用している。

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写真右側が一般用のバス、左側が基幹バス専用のバスである。昨年度、基幹2号系統にも初めてのノンステップバスが投入された。バス好きの方ならお判りと思うが、この写真の基幹バスもノンステップ車両である。

昨年度、ノンステップ車が納入された際に、基幹バスの愛称として長い間親しまれた「ミッキー」の呼び名は「市民に定着した」との理由で廃止となった。元々は、基幹1号系統が登場した時に一般公募でつけられた愛称で、確か名付け親は当時の中学生だったと記憶している。

この「市民に定着した」との理由も実はこじつけ臭い。当初のように「ミッキー」の部分を行灯にしたり、塗装になってからでもその部分だけ別色で塗装して文字を入れなければならないので、赤字に悩む我が職場が少しでも経費削減のために取った「経費削減処置」が本当の理由である。因みに、基幹バスの写真で「基幹バス」と入れられている部分に、以前は「ミッキー」と書かれていた。

さて、車内の話。シート配列も一般バスとは異なっている。

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これは、ツーステ車の例。中ロマとか、どうも専門用語があるようだが、何しろ中扉より前は左右とも1列シート、中扉より後ろは右が2列・左が1列のシートとなっている。また、入り口である中扉付近は、優先座席や車椅子等固定用の跳ね上げ可能なシートになっており、その部分だけは横掛け席となっている。こういう座席配置は何と呼ぶのだか、私は知らない。

朝のラッシュ時は殺人的な混み方をするので、開業当初の車両より座席数は減らしてある。

使用されてきた車両は、基幹1号系統では、かの「ふそう・ブルドック」が初代車両である。基幹2号系統では初代は「ふそう・エアロスター」と「日野・ブルーリボン」が使用され、2代目ではふそうだけが「ニューエアロスター」になった。日野はブルーリボンのままである。

現在、基幹2号系統では半数がノンステップ車両に置き換えられ(いわば3代目に相当する)、Jバス仕様の「エルガ」「ブルーリボンシティⅡ」が使用されている。また、基幹1号系統では全車がノンステップバスで、メーカーとしてはふそう以外は全て入っている。車種が多岐に渡るので、詳細はここでは割愛させて頂く。

随分と長い記事になったが、最後に運転する側の意見。道路の中央を走るのは、慣れてしまえば意外と楽に運転できる。今では一般ドライバーも慣れたので、当初のような事故は減った。ただ、横着ドライバーが多いことで有名な名古屋の話である。逆に慣れ過ぎてしまって、わざと基幹バスレーンに入り込む車両が後を絶たない。バス停の写真を掲載したが、あそこに一般車が入り込まれるとお客の乗降ができなくなってしまう。

バスの復権を担って出来たシステムも、はや20年以上が経過する。結局のところ、一般ドライバーのモラルが、バスの復権の鍵を握っているのではないかなと、私だけの意見である。

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コメント

初代の基幹2号系統の車両は中央バスでいう中ロマ仕様でしたね。
その後の車両は横向きシートが出来てロマンスとは言い難くなりましたね。

中央走行式なので、よくぶつかったという話を聞きました。
最近ドライブレコーダー搭載車が登場したので、『決定的瞬間』が録画されていて業務習得で拝見しました。
私は走った事はありませんが、走りたくないですね~。

投稿: N市のT | 2009年3月 4日 (水) 20時01分

>N市のTさんへ
ははぁ、初代の基2仕様が、「中ロマ仕様」になる訳ですか。大分納得できるようになりました。

中央走行方式が始まった当初は、本当に事故が多かったそうです。本文には新聞発表の初め1ヶ月の事故件数しか書きませんでしたが、実際にハンドルを握っていた先輩方に言わせると、新聞発表件数は氷山の一角だそうで、小さな接触などを含めると、倍以上の件数になると聞きました。

私は、N古野(当時の主担当営業所)で、入って8ヶ月目に基幹を担当車として貰いました。初めはおっかなくて嫌でしたね。お客としては十分乗っていて、運転の要領はつかんでいたつもりでしたが。
まあ、それでも慣れてしまうと、あれはあれで、たまには運転してみるのも楽しい乗り物ですよ。ただ、嫌いな人は何年経っても徹底的に嫌いなようですけど。

投稿: N市のTさんへ | 2009年3月 4日 (水) 22時35分

基幹バスについて詳細な解説ありがとうございます。
「ミッキー」という愛称についてなかなか旨いネーミングを考えるなあと
開業当時、雑誌の記事を見て感じました。
道路の中央を走る方式はなかなか良いアイデアかと思いますが、
N市のように広くて長い幹線道路が無いとなかなか実現しませんね。
札幌ではほんの一部で可能かもしれませんが、雪で道幅が変わるとか、
専用レーンが区別できないとか諸問題が発生しそうです。

室内の写真を拝見すると座席もすわり心地が良さそうですね。
よく見ると横向きの座席も2種類あるのですね~
進行方向右側の、ストライプ柄の入った座席が跳ね上げ可能な席ですね。
札幌市営バスではこの部分を立ち席とした車が昔からありました。
座席を取っ払うなんて究極のラッシュ対策でしょうかね。

いつも思うのですが、横向き座席もハイバック・シートで快適にできないものかと・・・
窓からはみ出しても良いのになあと思うのですがいかがでしょう?

ドライバーのモラルの問題って分かる気がします。
私の職場の近所の某幹線道路も朝の通勤時間帯はバス専用レーンになりますが、
一般車が多数走っています。
時々警察が来て取り締まると、今度は右左折する車で渋滞します。
どちらにしてもバスにとっては迷惑ですね~

今日は久しぶりにブルーリボンⅡノンステップ車に乗車しました。
フロントタイヤハウスの出っ張りが大きくて狭く感じますね。
座席定員の多さや座りやすさではワンステップのほうが好ましく思いました。

投稿: vanagon714 | 2009年3月 4日 (水) 22時35分

>vanagon714さんへ
道路中央走行方式は、確かにいいアイディアですよね。ただ、開業当初、新聞に「こんなことをするくらいなら、市電を廃止しなければよかったのだ」との酷評が載ったこともあり、私もウムウムなるほどと思った覚えがあります。何れにせよ、仰せの通り「道幅の広い」ことで有名な当市だからこそ実現できた方式だと思います。

初代の基幹バス車両は、1号系統・2号系統ともスーパーエアサスを採用したので、座席のゆったり感と共に好評でした。ところが、バス酔いに弱い方から「フワフワし過ぎる」とのクレームがあって、現行の一般エアサスに戻されてしまったと、先輩から聞きました。

横向き座席で、色違いになっている座席は、優先席です。ストライプの入った方が、言われる通り「跳ね上げ可能」の座席ですが、当市では余程のことがない限りツーステで座席を跳ね上げることはないようです。あそこを座席なしとする発想は、JRの205系などで採用されている「6扉車」と同じですね。目的が限定されているので、横向き座席のハイバックシート化は少々難しいと思われます。

座席定員・座りやすさ、どちらの点でもワンステップの方が上位でしょう。ただ残念なことに、当市では市長自らが「今後、新車はノンステ車しか導入しない」と宣言なさってしまったので、ワンステは入ることはないと思います。

色々と書きましたが、最終的にお客さんに快適に利用して頂くには、一般ドライバーさんのマナーが大きく関わってくると思います。名古屋は自家用車普及率が高い都市ですので、ハードルの高い問題ではありそうですね。

投稿: vanagon714さんへ | 2009年3月 4日 (水) 23時07分

今日は名無しではありません!

私は基幹2が嫌いなタイプです。
車がレーンに入ってくるとイライラしますし、直進矢印で右折に被せられた事もあります。
企4に相応しくないなが~~いクラクションを鳴らしましたが(笑)

基幹バスの効力を発揮させたいのなら全ての時間を専用レーンとしバス停手前にナンバー読み取りカメラを設置する位の事をしなければあまり意味がありません。


今はアスファルトですが、一昔前まで道路がコンクリートだったので継ぎ目でガタガタ振動が来ましたね。

投稿: 企4 | 2009年3月 6日 (金) 22時03分

>企4さんへ
基幹バスは人によって好き嫌いがあると思いますよ。私も数年前まではあまり好きではなかったのですが、本線の担当を止めて仕業数が減ってから急に好きになったんですよね。バランスの悪い1回・3回の仕業でも、皆さんが言われるほど嫌ではありません。

基幹バスレーンは今でも問題山積ですね。朝だけの違法車両監視員を一日中にするとか、かなり強引な策をとらない限り、言われるような悪体の輩はいなくならないと思います。私は諦め半分で乗務しておりますが。

8年位前から、約5年をかけて部分的に舗装を直しましたよね。あれで、かなり走り心地はよくなったと思います。

投稿: 企4さんへ | 2009年3月 7日 (土) 18時54分

スーパーエアサス、というのは初めて知りました。確かに初期の基幹バスの車両が一般車に改造されて一般系統で走っているとき、停車中とか右左折の時にエアサスから音がしてましたよね。
私は昔上社にいたので89系統(現上社11系統)でRH車をよく見ました。

投稿: リニモ1号 | 2009年7月22日 (水) 23時30分

>リニモ1号さんへ
初代の基幹バスは、凄かったですね。仰せのように、お客様の乗降時や、右左折の車体が揺れる時などに「シューッ、シューッ」って音がしていましたよね。

私がこの職場に入った頃、初代の基幹用車両がKHやRHとして残っていましたが、乗り心地がよかったので、結構運転するのも好きでした。ただ、乗り物酔いをされる方が多かったために、現在の仕様に変えたと聞いています。

因みに、この魚澄庵庵主は、89号系統が誕生してから約30年、ずっとこの路線のお世話になっています。私もこの路線の沿線に住んでおりまして……。

投稿: リニモ1号さんへ | 2009年7月23日 (木) 00時03分

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