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2008年10月17日 (金)

熊本電鉄「怒涛の1時間半完乗記」

昨日少し触れた、熊本電鉄の乗車紀行(と言えるのか?)を書こうと思う。

そもそも私は鉄道ファンと言っても、国鉄・JRにしか興味がない。だから、たとえ元国鉄線でも第3セクターの手に渡ったものは乗りもしないし撮りもしない。元々が私鉄の線に至っては、遥々行っても見向きもしない。だから、鹿児島の市電にも全く乗っていないし、札幌の地下鉄も必要な区間を乗っただけで乗っていない区間は放置してある。

ただ、自分が無事定年退職を迎えたら、私鉄も乗れるだけは乗ってみようかな、程度に思っていた。ところが、だ。今回の旅行でまず自宅付近から地下鉄の駅まで乗せてくれたバスの乗務員(つまりは同僚なのだが)が、降り際に話しかけてきた。「おさかなさんは、私鉄には全く興味がないんですか? いつもJRばかりみたいですけど」。

ほんの2分程度だが、彼の時間が許す範囲で話している内にちょっと私の気が変わってきた。定年後と言っても、その後に自分がもう一度全国を乗り歩ける自信はない。別の同僚で既にJR・私鉄の全線を乗った「完全走破者」もおられる。本当に全鉄道を乗るつもりがあるのなら、体力も落ち始めたことだし、そろそろスタートをかけても良いのではないか。

かような次第で、折角熊本に泊まった事だし、予定していなかった「熊本電鉄」を全線乗ってみようという気になった。ついでに言い足すと、熊本には市営の路面電車も走っている。これは、熊本に着いた日と、その翌々日の2日間で、全線乗っておいた。

今回の旅行の最終日・10月14日は、当初の予定だと熊本を10時過ぎに発てばよいはずであった。ところがこの時間を繰り上げれば、十分に熊本電鉄の全線に乗れることが判ったのである。全線と言っても、10.8キロの菊池線と2.3キロの藤崎線があるだけのことだ。かくして、私の第2の「全線走破への道」が開始と相成った。

***

熊本を7時25分のJRで、隣の上熊本へ行く。ここが菊池線の起点と隣接しているのだ。運行系統としては上熊本からの電車は路線名に関係なく、藤崎線との接続駅・北熊本が終点となっている。次の北熊本行きは7時50分発。待ち遠しい思いで高校生らと一緒に小さなホームで待っていると、ローカル私鉄らしい踏切の音が聞こえてきて、電車が姿を現した。

Dscn1

この区間は単行の電車が行ったり来たりしているだけと聞いていたが、意外にも2両編成の電車である。常連らしい高校生たちも「あれ、1両じゃねえや。ハイテク電車だな」なんて言っている。鉄道の日だから特別サービスだろうか。

普段1両のところを2両での運転だから、ラッシュ時でも車内は余裕がある。ゆっくり車内を見回すと吊革に、こんな広告が載っていた。

Dscn2

「なんば」。大阪の難波のことだ。熊本電鉄の現存車両は全て他の私鉄で使われていた車両のお古だとは知っていたが、この電車はどこのお古かな。大阪近辺で……そう言えば南海の電車に雰囲気が似ているな……。あとで、調べてみるとその通り、南海電鉄のお古らしい。

さて、北熊本までは僅か9分で着く。7時59分、定刻で北熊本に着き、あえなくこの区間の乗車は終わった。でも、感激に浸っている暇はない。接続する同じ菊池線の御代志(みよし)行きは、対面のホームからたった2分の接続である。ホームの情景を慌しく撮って、対面ホームの電車に飛び乗る。

Dscn3

左側の、銀色のステンレス電車が御代志行きだ。高校生が私と一緒にどっと乗り移る。これから先は、ちょっと熊本郊外の山間の手前まで行く。そんな方に高校があるかと思って車内の路線図を見ると「電波高専前」と云う駅がある。ここの生徒たちであろう。果たして、15分ほど走ったその駅で、高校生たちは全員降りていって車内は閑散となった。

それから5分程度で、「次は御代志、御代志。ご乗車有難うございました。終点です」との女性声のテープアナウンスが流れた。

私の記憶では、菊池線はその名の通り、菊池と云う駅が終点だった筈だ。付近の菊池温泉への連絡が目的で敷設された路線だと聞いている。だが、モータリゼーションの波には勝てなかったらしく、知らぬ内に菊池~御代志の間は廃止となったらしい。御代志の駅に降り立つと

Dscn4

電車ホームの反対側はバスターミナルの一部になっているが、いかにも「以前は単なるすれ違いの出来る駅でした」と言わんばかりの様相だ。

さいぜんの高校生を降ろしたために3分遅れで御代志へ到着したから、折り返し時間は3分しかない。写真を撮って、青い自販機で缶コーヒーを買って、慌しく車内へ戻ると電車はすぐに発車した。

御代志から発車する電車は、車庫のある北熊本行きを除けば、基本的には藤崎線の終点・藤崎宮前まで行く運転系統となっている。つまり、路線名と実際の運転系統は全く別々になっている訳だ。その方が、旅客の需要に合うらしい。

ところで、北熊本からずっと乗っているこの電車も、どこかの私鉄のお古の筈だ。自分の薄ら覚えで東急電鉄のお古かなと思っていたが、さっき調べてみたら東京の都営地下鉄・三田線のお古だそうだ。地下を30年以上走らされた挙句、やっと地上出られたらこんなローカル私鉄では、ちょっと可哀想な気もする。まあ仕方ない話だが。

さっき乗り換えた北熊本まで、見終わった絵巻を巻き戻すような感覚で電車に揺られ、北熊本からはまだ乗っていない藤崎線に入っていく。とは言え僅か2.3キロだ。6分で敢え無く終点の藤崎宮前(ふじさきぐうまえ)に到着し、これで熊本電鉄は全線完乗を果たしたことになる。それにしても、駅がやけに新しい。

Dscn5

ホームの雰囲気からして建て直しでもしたかと思ったら、これも先程調べて知ったのだが、市の中心に近い藤崎宮前駅から更に延長させて、将来的には熊本市電と直通できるように計画しているとの由。然し、今はそんなことはどうでもいい。折り返し電車の発車は、僅か3分後の8時55分。またまた慌しく同じ電車に乗り込んだら、あっという間に発車ブザーが鳴った。

完乗は果たしたが、乗り始めの上熊本駅へ戻らないとJRには乗れない。で再び北熊本で乗り換え。

Dscn6

1時間ほど前に乗った電車がそのまま乗り継ぎ客を待っていた。私は心密かに、単行電車に車両交換されていることを願っていたのだが……。その単行電車とは、嘗て東急電鉄で主力として走っていた「青ガエル」と呼ばれる電車である。本来、北熊本~上熊本は「青ガエル」が走っていると聞いていた。そしてその青ガエルとは、昭和の名車と鉄道ファンからは呼ばれたくらい、昭和時代っぽい電車なのだ。「鉄道の日」のサービスか何か知らないが、ちょっち残念。

再度、上熊本へ向けて出発し、9分後の9時11分、上熊本へ到着。これで、慌しい「熊本電鉄」の旅は終わった。とても「紀行」とは言えぬ有様だから、とっとと記事を終わろうと思うが、最後にもう一枚だけ写真を。

Dscn7

上熊本で降りてから気がついた。古い案内看板は、まだ昔の終点駅を「菊池」方面と記していた。終点駅が御代志の今でも、書き換える余裕すらないのだろうか。それとも御代志で菊池行きのバスに接続しているから、この看板通りでいいのだろうか。どっちか判らないけれど、兎に角、怒涛の如く勢いに乗り、僅か1時間半で熊本電鉄の「旅行」は終わった。

***

このようにして、今後も私鉄の乗りつぶしを敢行していくのであろうか?  少なくとも熊本電鉄に限って言えば、急ぎすぎて余りに味気ない乗車だった。今後のことは、また後日ゆっくり考えようと思う。そう、日本の鉄道全線を走破したTの翁さんのご意見も聞きながら。

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コメント

超忙しい「熊電の旅」でしたね~。
私の時は〒巡りを兼ねていたので、ゆっくり・のんびり回りました。
御代志の駅には元N市営バス(F-300前後)の3扉車が来ます。おさかなさんがN古野時代乗務したやつかも知れませんよ。

全線踏破のエキスパートT爺さんに色々聞いてみたいですね。
私は国鉄全線踏破しかやっていないので、これから金と暇があれば挑戦してみたいです。

投稿: N市のT | 2008年10月18日 (土) 10時57分

>N市のTさんへ
本当に忙しい「旅」でした。熊電に乗ることを想定していなかったのでこんな乗り方になってしまいましたけれど、これからは少しスケジュールの組み方なども考えて、ゆっくり回れるようにしたいですね。T爺さんの体験談は、きっと役に立つと思います。

御代志近辺にはN市営のお古が走っているのですか! 
私がN古野で初めて貰った担当車はF-190番台の車でした。あの頃は高嶺の花に見えたF-300番台車が、今は第二のお勤めですか。
どうりで、歳をとる筈ですね。

投稿: N市のTさんへ | 2008年10月18日 (土) 18時07分

メールしますね!
あんまり関係ないかもしれないですけど、電車が入ってくる音楽。
あれ、JRは全部一緒ですか?
一応、高校の三年間電車通学だったので。
耳から離れないんですよ。
どうなのかな?って。
乗り換えしてるとこ見るとうちの方と一緒だなー、なんて。
階段上っての乗り換えは、きついー!
なので乗り換えの電車の終点に前のりしてすでに着いている乗り換えの電車に乗ったり。いろいろ駆使しておりました。
懐かしいです。

投稿: ゆう | 2008年10月18日 (土) 22時05分

>ゆうさんへ
先程、私の方からメールを打ってみました。届きましたでしょうか?

さて、JRの電車が入る時の音楽ですが、広島地区は全部同じ音楽ですね。確か「瀬戸の花嫁」の頭の部分ではなかったですか? あの音楽は地区によって異なりますけど、JR四国の松山近辺も同じ「瀬戸の花嫁」を使っているようです。

東京の山手線に乗られる機会があると面白いのですが……。「電車が入る時」ではなくて、「電車が発車する時」の音楽なんですが、駅ごとに違うんですよ。
国鉄の頃には考えられなかったことですが、6つの「JR」に分けられて、それぞれの会社がそれぞれの音楽や発車メロディーで独自性を発揮しています。

投稿: ゆうさんへ | 2008年10月18日 (土) 23時27分

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